サブ3.5を目指すなら、避けて通れないのが30kmロング走。 マラソン後半の「脚が止まる」現象は、気持ちでも根性でもなく、 単純に脚が42kmを知らないから起きます。
30km走は、その未知の距離に身体を慣らすための“試験本番”。 ここを越えられるかどうかが、サブ3.5の成否を左右します。
私も最初は怖かった。 25kmを過ぎてから、脚が鉛のように重くなり、 「あと5kmが遠い」──そう感じたことを今でも覚えています。 でも、この壁を超えた先に、確実な成長がありました。
2. ペース設定と目的を明確にしよう
① サブ3.5ランナーの理想ペース
フルマラソンの目標ペースが 4分58秒/km なら、 30km走の練習では5分50〜6分10秒/km(Eペース+α)が理想。
このペースなら、心肺に無理をかけず、 「フルの後半を耐え抜く脚」を作ることができます。
② 目的別の30km走
| タイプ | 目的 | ペース目安 |
|---|---|---|
| 基礎型 | 脚づくり・距離慣れ | 6:00〜6:10/km |
| 実戦型 | 本番シミュレーション | 5:30〜5:45/km |
| ビルドアップ型 | 後半粘り強化 | 6:00→5:30/km |
いきなり速く走る必要はありません。 「完走して脚を残すこと」が最大の目的です。
3. Jack Daniels理論でみるロング走の役割
Jack Danielsはロング走についてこう言っています:
“Long runs are the cornerstone of endurance training—they teach the body to be economical.”
(ロング走は持久力トレーニングの礎であり、身体に効率性を教える練習である)
つまり、ロング走は「体力づくり」ではなく、 “エネルギーを節約しながら走る技術を身につける練習”でもあるのです。
30kmを通して、身体は次のように変化します:
- 脂肪をエネルギーに変換する能力が高まる
- 脚筋の耐久力が向上する
- 補給タイミングの最適化が分かる
- フォームの安定性が持続する
4. 実践:30kmロング走の進め方
① 前日の準備
- 夕食で炭水化物をしっかり摂取(白米・うどんなど)
- 就寝前にアミノ酸補給+ストレッチ
- 水分は寝る前に300ml程度
② 当日の流れ(実例)
| 時間 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 6:30 | 起床→バナナ+コーヒー | 消化の良い軽食 |
| 7:30 | アップジョグ+ストレッチ | 1km程度 |
| 8:00 | ロング走スタート | 5:55/kmペース |
| 10:45 | 30km完走 | 水分+ジェル3回補給 |
| 11:00 | ダウンジョグ+補給 | アミノ酸+プロテイン |
③ 補給タイミング
- 10kmごとにジェル1本(例:メイタンCCCやアミノバイタル)
- 15km以降は水だけでなく電解質ドリンクを意識
- 暑い日は1kmごとに一口給水でもOK
5. 練習中に感じる“30kmの壁”の乗り越え方
25kmを超えると、脚が重く、集中力が途切れます。 ここで意識すべきは「我慢」ではなくリズムの維持。
私の経験上、腕振りを少し大きくしてフォームを整えると、 自然とピッチが戻り、ペースも安定します。
そして、頭の中でこう唱えます:
「これは本番の35km地点」
そう思うだけで、不思議と心が切り替わる。 “練習の30km”が“レースの後半”の予行演習になるんです。
6. シューズと補給のおすすめ
- シューズ:ナイキ ズームフライ5、アシックス ノヴァブラスト4、ホカ クリフトン9
- 補給:メイタンCCC(15km/25km)、アミノバイタルGOLD(スタート前)
- ウェア:汗冷え防止インナー+キャップ
30km走は体力よりも“快適さの総合力”が試されます。 靴擦れ、腹痛、汗冷え──小さな不快を1つずつ潰していくことで、 本番の成功率が一気に上がります。
7. 30km走後の回復とケア
- 30分以内にアミノ酸+炭水化物補給
- 当日は完全休養(またはウォーキング)
- 翌日はEペースで5〜8kmジョグ(脚をほぐす)
- マッサージ・ストレッチで筋膜リリース
Danielsも「練習より回復の質が走力を決める」と述べています。 次のLT走を最高の状態でこなすために、回復も“練習の一部”と考えましょう。
8. まとめ:30kmを制する者は、フルを制す
30km走は、サブ3.5を狙う全ランナーにとって最強の練習。 距離の壁を超えた瞬間、あなたの走りは確実に変わります。
“30kmを走り切れる”という自信は、 本番の40km地点であなたを支える“最後の武器”になります。
今日も静かな朝、Garminのスタートボタンを押そう。 一歩ずつ、3時間29分59秒のゴールへ──。
▶️ 次の記事:【マラソン前日の食事と補給戦略】へ続く(準備中)

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