サブ3.5を目指して走り込んでいると、 つい「今日も頑張らなきゃ」と自分を追い込みがちです。 しかし、走力を伸ばすために本当に大事なのは、 “練習と練習の間”をどう過ごすか です。
その間をつなぐのが「ジョグ(回復走)」。 疲れた脚をリセットし、次の高強度練習(LT走や30km走)で最大のパフォーマンスを発揮するための“つなぎ”です。
走る=攻める、と思いがちですが、 本当に強いランナーは「抜くことができる人」です。
2. ジョグの定義と理想ペース
ジョグとは「走ることで回復を促す走り方」。 心拍数は最大の60〜65%、会話できる余裕がある程度が目安です。
サブ3.5ランナーの場合、
1km=6分20〜6分40秒
が最適な回復ペース。
これは「Eペース(5:50〜6:10/km)」よりさらに遅く、 “ゆるジョグ”と呼ばれる領域です。
Jack Danielsも『Running Formula』の中でこう述べています。
“Easy running allows your body to recover and adapt. Without it, improvement stops.”
(イージーランは身体を回復・適応させる時間であり、それを省略すれば進化は止まる。)
3. なぜ回復走で速くなるのか?〜科学的な理由〜
① 筋肉の修復を促す
ハード練習後の48時間は、筋肉が“修復”と“強化”を繰り返す時間。 この時期に軽いジョグを入れると、血流が促進され、 乳酸や疲労物質の除去が早まります。
② 有酸素能力の維持
完全休養ばかりだと、せっかく育てた心肺機能が落ちやすい。 ジョグを入れることで、心拍数を低強度でキープし、 有酸素エンジンを“アイドリング状態”に保てます。
③ 習慣のリズムを崩さない
「1日休むと再開が億劫になる」──これはランナーあるあるです。 ジョグは身体だけでなく“走るリズム”も維持するメンタルリセットにもなります。
4. 実践:週のどこにジョグを入れるべきか?
週3〜4回練習しているサブ3.5ランナーなら、 下のような構成が理想です。
| 曜日 | メニュー | ペース・目的 |
|---|---|---|
| 火 | Eペース走 | 5:55/km × 10km |
| 木 | LT走 | 4:35/km × 5km |
| 金 | ジョグ | 6:30/km × 6km(疲労抜き) |
| 日 | ロング走 | 6:00/km × 25〜30km |
ポイント練習(LT・ロング)の翌日にジョグを挟むと、 疲労を溜めずに練習の“質”を保てます。
5. 実際に走って感じる「ジョグの魔法」
私がジョグの大切さを痛感したのは、 ある週、疲労が溜まり過ぎて脚が重く感じたとき。 本当は休みたかったけど、「軽く走ってみよう」と外に出た。
1km目は鉛のように重かった脚が、 3kmを過ぎた頃、ふっと軽くなる。 河川敷の風が心地よくて、 「走ってよかった」と思えた瞬間でした。
翌日のLT走では、驚くほど脚が動いた。 「疲労が抜けるジョグ」というのは本当に存在します。
6. ジョグの日に意識したい3つのポイント
- ① ペースを絶対に上げない
他人のStravaを見ても気にしない。遅くてOK。 - ② 景色・フォーム・呼吸を意識する
「フォームリセットジョグ」として活用。 - ③ 音楽・Podcast・無心ランを楽しむ
メンタルの回復効果も大きい。
7. シューズ・栄養・ケアの工夫
- シューズ:クッション重視(ゲルカヤノ・クリフトンなど)
- 補給:練習後30分以内にプロテイン+炭水化物
- ケア:お風呂→ストレッチ→就寝前にアミノ酸1包
回復走の日こそ、身体を「修復モード」に入れるチャンス。 練習後の行動が次の練習の質を決めます。
8. まとめ:“走らない勇気”が速さを生む
ジョグは「サボり」ではありません。 それは、次の自分を作るための時間です。
Jack Danielsはこう言いました:
“You don’t get stronger from training; you get stronger from recovering after training.”
(人は練習によって強くなるのではない。練習の後の回復によって強くなる。)
走ることを愛するからこそ、 「抜く勇気」を持つことが本当のランナーの証。 6分30秒/kmのジョグが、 あなたを3時間29分59秒のゴールへ導いてくれます。
▶️ 次の記事:【ビルドアップ走の効果と実践法】へ続く(準備中)

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