〜走らずに伸ばす。体幹と脚の「軸」を鍛える〜
1. 「筋トレ=走力アップ」は本当か?
「ランナーに筋トレは必要?」 そう聞かれたら、私は即答します。
「必要です。特に40代・50代は“必須”です。」
若い頃は筋力だけでごまかせたフォームも、 年齢を重ねると筋肉量が減り、姿勢が崩れ、ケガのリスクが増します。
しかし逆に言えば、筋肉を取り戻せばまだまだ速くなれるということ。 ランナーにとっての筋トレは、「スピードを上げる」よりも「効率よく走る」ための基盤作りです。
2. Jack Daniels が語る“筋力とランニング効率”
Jack Danielsはこう言っています:
“Strength training improves your running economy and reduces injury risk.”
(筋力トレーニングはランニング効率を高め、ケガのリスクを減らす。)
つまり、筋トレは単に“パワーアップ”ではなく、 走りの燃費(Running Economy)を改善するトレーニングなのです。
筋肉が安定すれば、フォームがブレず、 同じ力でより速く、より遠くまで走れるようになります。
3. ランナーに必要な筋肉とは?
筋トレというと「太もも」「腕立て」のイメージが強いですが、 サブ3.5ランナーに最も大切なのは“体幹・お尻・脚裏”の3点です。
| 部位 | 主な筋肉 | 効果 | 
|---|---|---|
| 体幹 | 腹直筋・腹斜筋・背筋 | 姿勢を保ち、フォームを安定させる | 
| お尻 | 大臀筋・中臀筋 | 推進力を生み、骨盤を支える | 
| 脚裏 | ハムストリングス・ヒラメ筋 | 地面を蹴る“押し出し”を強化 | 
これらを鍛えることで、「疲れにくくなる=速く走れる」体になります。
4. 自宅でできるランナー向け筋トレメニュー
① ヒップリフト(お尻)
- 仰向けで膝を曲げ、お尻をゆっくり持ち上げる
 - 10〜15回 × 3セット
 - ポイント:腰でなく“お尻で上げる”意識
 
② プランク(体幹)
- 肘とつま先で体を一直線に保つ
 - 30〜60秒 × 3セット
 - ポイント:腰を落とさず、肩からかかとまで一直線
 
③ ブルガリアンスクワット(脚裏+お尻)
- 片足を椅子に乗せ、もう片方でスクワット
 - 左右10回 × 3セット
 - ポイント:前の脚でしっかり押す。背筋を伸ばす。
 
④ カーフレイズ(ふくらはぎ)
- かかとを上げて1秒キープ
 - 20回 × 3セット
 - ポイント:膝を伸ばして上げ下げする
 
⑤ サイドプランク(横腹・姿勢維持)
- 横向きで肘と足の側面で体を支える
 - 左右30秒 × 2セット
 - ポイント:骨盤を落とさず一直線
 
どれも自重でOK。道具不要、1日15分で完結できます。
5. 週のどこに入れるか?
筋トレは「走る日の後」がベスト。 疲労が溜まった状態でやると、筋肉の刺激が入りやすいからです。
| 曜日 | メニュー | 筋トレ | 
|---|---|---|
| 火 | Eペース走 | ヒップリフト+プランク | 
| 木 | LT走 | ブルガリアンスクワット | 
| 土 | ロング走 | カーフレイズ | 
| 日 | ジョグ/休養 | サイドプランク(軽め) | 
「走ってから15分」──それが最も効果の出るゴールデンタイムです。
6. 筋トレで速くなる3つの理由
- フォームが安定する: 上体のブレが減り、呼吸がラクになる。
 - 蹴りが強くなる: お尻と脚裏で地面を押す力が増す。
 - 故障が減る: 膝痛・腰痛・足底筋膜炎の予防になる。
 
特に「お尻の筋肉(大臀筋)」はランナー最大の武器。 ここが使えるようになると、“脚が勝手に回る感覚”が出てきます。
7. 私の実体験:筋トレを習慣化して変わったこと
私が補強を意識し始めたのは、 別府大分マラソン前の冬。腰痛と膝痛で思うように走れず、 「これは走る前に体を整えないとダメだ」と感じて始めました。
最初は3日坊主でしたが、 「走った後にヒップリフト10回だけでもいい」とハードルを下げたことで継続できました。
2週間後、驚いたのはフォームの安定感。 30km走でも姿勢が崩れず、脚の疲労が軽くなっていたんです。
以来、筋トレは「練習の一部」ではなく「練習の前提」になりました。
8. 継続のコツと心構え
- ① 「短時間でもOK」を合言葉にする
 - ② 同じ時間・同じ場所で習慣化(風呂前など)
 - ③ 筋トレ後の小さな達成感を“記録”する(カレンダーに✔)
 
続けるコツは「完璧を目指さない」こと。 10分の積み重ねが、3ヶ月後には大きな違いになります。
9. まとめ:“走らない時間”が走力を伸ばす
筋トレは、タイムを縮めるための“裏の主役”。 フォームを支え、故障を防ぎ、疲労を減らす。 40代・50代ランナーにこそ必要な「投資型トレーニング」です。
Jack Danielsは言いました:
“The more efficiently you move, the longer you can sustain.”
(動作効率が上がれば、持続力も伸びる。)
10分の補強が、あなたの42kmを支えます。 今日も、走る前・走った後に“たった3種目”から始めてみましょう。
▶️ 次の記事:【インターバル走の実践と効果】へ続く(準備中)
  
  
  
  
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