【保存版】フルマラソンは「スピード練習」だけでは速くならない。35kmまで”眠るように”走るための持久力強化論

サブ3.5練習法

【導入】スピードはあるのに、なぜフルマラソンで失速するのか?

「インターバル走の設定タイムはクリアできている」

「ハーフマラソンのタイムも伸びてきた」

「なのに、フルマラソン本番では30km過ぎで足が止まってしまう」

もしあなたが今、このような悩みを抱えているなら、この記事はまさにあなたのためのものです。

私たち市民ランナー、特に仕事が忙しい40代・50代は、どうしても短時間で効果が見えやすい「スピード練習(ポイント練習)」を重視しがちです。

息が上がり、汗をかき、GarminのVO2Max(最大酸素摂取量)が上がるのを見ると、強くなった気がしますよね。

しかし、断言します。

スピード練習ばかりしていても、フルマラソンは速くなりません。

フルマラソンという競技の本質は「速く走る」ことよりも「強さを維持し続ける」ことにあります。

今回は、多くのランナーが避けて通りがちな、しかし記録更新には絶対に欠かせない「ロング走(距離走)」の重要性について、その本質を掘り下げます。

1. 「速さ」と「強さ」は別物である

フルマラソンに必要な能力は、大きく分けて2つあります。

1. スピード(最大出力): 車で言えばエンジンの排気量や最高速度。

2. スタミナ(持久力・燃費): ガソリンタンクの大きさや燃費の良さ。

インターバル走などのスピード練習は、エンジンの性能を上げる作業です。もちろん重要ですが、フルマラソンにおいてエンジン全開で走り続けることはまずありません。

一方で、多くのランナーに圧倒的に不足しているのが「ガソリンタンクの大きさ」と「ボディの耐久性」です。

どれだけフェラーリのような高性能なエンジン(スピード)を積んでいても、ガソリンタンク(持久力)が軽自動車並みであれば、42.195kmという長旅を走り切ることは不可能です。

「持久力がないと、フルマラソンは持たない」

この当たり前の事実から目を背けてはいけません。

2. マラソンの真実は「35kmからが本番」

フルマラソンの経験者なら、あの感覚が分かるはずです。

30km、あるいは35km地点にある、あの絶望的な「壁」の正体を。

足が棒になり、意識が遠のき、ペースがガタ落ちする。

多くのランナーにとって、35kmは「ゴール手前」ではなく「終わりの始まり」になってしまっています。

しかし、記録を出すランナーの感覚は違います。彼らはこう定義しています。

「35kmの疲れてからが本番である」

0kmから35km区間は、あくまで「35km地点という本当のスタートライン」に立つための移動区間に過ぎません。

ここで消耗してしまっては、勝負になりません。

3. 「眠ったように走る」という境地を目指せ

では、どうすれば35km地点に余力を残して到達できるのか。

私が意識している、そしてあなたに目指してほしい感覚はこれです。

「35kmまでは、眠ったように走る」

これは比喩ではありません。

脳を覚醒させず、闘争心を持たず、アドレナリンを出さず、ただ淡々と、機械のように距離を消化する。

「今日は調子がいいから前半で貯金を作ろう」などという色気を出した瞬間に、マラソンの神様は後半に強烈な罰を与えます。

「まずは35kmまでは余裕で走れる体になる必要がある」

これが、サブ4、サブ3.5、そしてサブ3を目指すすべてのランナーにとっての必須条件です。

スピード練習でキロ4分を切って走れても、35kmを笑顔で通過できなければ、フルマラソンでは全く意味を成さないのです。

4. なぜロング走が必要なのか?科学的な3つの理由

「根性で長く走れ」と言っているわけではありません。

ロング走(20km〜30km走)を行うことで、私たちの身体の中では劇的な変化が起きます。

① 「脂質」をエネルギーに変える体質改善

人間の体内にある「糖質」のタンクは、どんなに詰め込んでもフルマラソンを走り切る量には足りません。一方で、「脂肪」は無尽蔵にあります。

スピードを出せば出すほど、体は「糖質」を使おうとします。

逆に、余裕のあるペースで長く走り続けることで、体は「お、糖質は温存して、脂肪を使おう」と学習します。

ロング走を積んだランナーは、脂肪を燃やし続けられるため、30kmの壁でガス欠を起こしません。

② 35kmの衝撃に耐える「脚作り」

フルマラソンの着地衝撃は体重の3倍以上。それを数万回繰り返します。

こればかりは、短時間のスピード練習では再現できません。

長時間、路面からの衝撃を受け続けることで、骨、腱、筋肉が「硬く、強く」なります。これが「脚作り」です。

③ 「脳のスタミナ」を鍛える

レースや練習会ではなく、たった一人で長い距離を走ることは退屈で辛いものです。

しかし、その「退屈さ」に耐えることこそが、後半の粘りに繋がる「脳のスタミナ」を鍛えます。

まとめ:地味な練習こそが、最強の武器になる

スピード練習は派手で、達成感があり、SNS映えもします。

一方、ロング走は地味で、時間がかかり、孤独で、疲労も残ります。

しかし、マラソンのタイムは「積み上げた距離と時間の累積」に裏切られることはありません。

「スピードはあるのにタイムが伸びない」と悩んでいるなら、一度勇気を持ってスピード練習を休み、そのエネルギーをすべてロング走に注ぎ込んでみてください。

スピードを捨てて、強さを手に入れる。

その先には、35km過ぎても「まだ足が残っている!」と歓喜できる、新しいマラソンの景色が待っています。

▼実践編:皇居での20kmロング走の記録はこちら

理屈だけでなく、実際に私が強風の皇居で「淡々と」距離を踏んだ実践ログです。ペース配分の参考にしてください。

▶︎ 【皇居20km】強風を味方につける。キロ5分ペース走で見えた「淡々と走る」ことの重要性

コメント